WAVEファイルとラジオ 概要

Waveファイル、拡張子でいうと.wavは、PCM(パスル符号変調)でアナログ音声を最も単純にデジタル化した無圧縮音声ファイル形式であるので、今の時代において一般的には、”ただの音質が最高に良いファイル形式”という認識を持つ人が多くなっていると思う。

一方放送局では、テレビはさておき、ラジオではWaveのまま放送波に乗り、聴取者に届くため、常用するファイル形式である。そして放送に利用する上で必要な機能であるタイムコードやCue信号などを付加するBWFという拡張形式も存在し、実は奥の深いファイル形式でもある。

BWF

1997年にEBU (欧州放送連合)が仕様策定したこともあり、放送業界独自の技術と言って過言でない。また日本独自にBWF-Jという拡張形式も存在する。民放連の定めるラジオCM素材搬入基準は、BWF-Jである。

EBUによるBWFのドキュメント| https://tech.ebu.ch/docs/tech/tech3285.pdf

JPPAによるBWF-Jのドキュメント| http://www.jppanet.or.jp/bwf-j/jppa-1-2009_bwf-j_audio_file_format.pdf

放送に携わる皆さまへ | 一般社団法人 日本民間放送連盟

2GBの壁

4GBの壁とも呼ばれるが、Waveは32ビット記述をされており、ヘッダ内にファイルサイズを示す部分があるため、32ビットで示せないファイルサイズになることができない。符号ありの整数として解釈されることも多く、その場合2GB程度までが限界となる。Waveはビットレートとサンプリングレートを自由に決めることができるが、一般的なレートにおいては、数時間の音声で2GBに達してしまう。よって限界を超える長時間番組をファイル化することが本来できないが、BWFにより、複数ファイルを同一音声として扱うことで対応する。またWAVE64という64ビットバージョンのファイル形式も存在し、問題は解決することができる。

WAVと32bitの壁 | Harmonic-Sound

 

今後、Waveのヘッダや、BWF(BWF-J)によるファイル構造の違いを調べ、いじっていきたい。